奥出雲の農林畜産業が世界農業遺産に認定されました!
最終更新日:2025年8月27日
奥出雲町農業遺産推進協議会
奥出雲町農業遺産推進協議会が申請した「たたら製鉄を再適用した奥出雲地域の持続可能な水管理及び農林畜産システム」が国連食糧農業機関(FAO)の審査の結果、世界農業遺産に認定されました。
世界農業遺産の認定は中国地方では初となり、これにより国内の認定地域は17地域となりました。
平成31年2月に「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」が日本農業遺産に認定されて以降、世界農業遺産の申請活動を継続して行ってきました。令和7年7月22日、世界農業遺産科学助言グループ委員による現地調査が実施され、同年8月26日、FAOの審査の結果、世界農業遺産に認定されました。
▲砂鉄採取跡地に拓かれた棚田景観(奥出雲町鳥上地区 福頼集落)
【世界農業遺産認定までの経過】
・H28.8.30 奥出雲町農業遺産推進協議会の設立
・H31.2.15 「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」日本農業遺産に認定
・R3.2.19 世界農業遺産への認定申請に係る国内承認
・R3.10.7 世界農業遺産認定申請書をFAOへ提出
・R7.7.22 FAO世界農業遺産科学助言グループ委員の現地調査
・R7.8.26 FAOが島根県奥出雲地域を「世界農業遺産」に認定
「たたら製鉄を再適用した奥出雲地域の持続可能な水管理及び農林畜産システム」とは・・・
島根県奥出雲地域は、江戸時代から明治初めを最盛期として、櫻井家、絲原家など鉄師を中心に「たたら製鉄」が営まれ、稲作、和牛、林業と結びつきながら、製鉄と農業で地域の暮らしと経済を支えてきました。
かつて砂鉄を採取するために、水路やため池を設けて山麓丘陵地に水を導く「鉄穴流し」と呼ばれる採掘技術によって山を切り崩し、その跡地は農地に再生しました。
砂鉄採掘に用いた水路やため池は農業用に再利用し、採掘跡地の養分のない痩せ土には土壌改良にソバなどを蒔き、製鉄の運搬に用いた和牛の堆きゅう肥を水田に施用することにより、稲作の農業生産性を高めました。
一方、森林資源も循環利用しながら水源涵養力を保全し、限られた水資源を無駄なく供給する水路網、水の利用管理の慣習を受け継ぎ、稲作、和牛、林業を中心とした持続可能な農林畜産業が営まれています。
水路網 ため池 山間地の棚田
また、農業を通じて、水田、水路の水辺や草地、森林の環境が維持され、多様な動植物が生息し、文化の面でも農業に関わる伝統行事、食文化が伝承され、集落のコミュニティで豊作を祈願する祈りや価値観が残っています。
たたら製鉄を背景に築かれた棚田には、削らずに残された小山「鉄穴残丘」が点在し、四季折々の里山など地域固有の景観が農業の暮らしの中で維持保全されています。
この認定を契機として、地域住民の自信と誇りとなり、先人が築き上げた循環型農業や棚田景観を保全・継承していくとともに、世界農業遺産の認定を活かし、未来につなげていく取組を進めていきます。
【奥出雲の農業システムの特徴】
当地域は中国山地の山間に位置し、かつて砂鉄を採掘した跡地を棚田に造成し、砂鉄採掘に用いた水路やため池を農業用に再利用し、伝統的な水管理の知識、共同で維持管理する水路組合による農業慣習を受け継ぐことにより、今日、棚田において良質な仁多米を生産し、独特な棚田景観を見ることができます。
(1)砂鉄鉱山を起源とする棚田と水路網の継承
(2)稲作、和牛、森林利用による複合的農業(仁多米、奥出雲和牛、ソバ、シイタケ等)
(3)地域資源を循環利用する農林畜産業(耕畜連携の循環型農業、森林の循環利用)
●奥出雲の自然と景観、受け継がれてきた農林畜産業を動画で紹介していますので、ご覧ください。
・奥出雲町PV ロングバージョン(約26分)
・奥出雲町PV ダイジェスト版 (約12分)
●(参考)農林水産省HP プレスリリース
島根県奥出雲地域と和歌山県有田・下津地域が新たに世界農業遺産(GIAHS)に認定されました!:農林水産省
▲仁多米 ▲奥出雲和牛 ▲横田小そば
▲シイタケ栽培 ▲木炭の生産 ▲稲わらの利用(飼料・敷料)
▲牛ふん堆肥「コエグロ」 ▲牛ふん堆肥を水田散布 ▲シイタケ栽培の原木利用
▲福頼棚田展望台からの眺め ▲削らずに残された小山「鉄穴残丘」
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