奥出雲町遺産 第10回認定

最終更新日:2026年09月18日

【認定No.90】蔭凉寺の釈迦堂(推薦:三沢地区原田自治会)

認定証用

 雲陽誌に「釈迦堂(しゃかどう) 本尊坐像五尺 行基の刻彫なり、脇立 観音地蔵各 長五尺、故老伝に、昔この仏河内村たるが淵と云ふ所にて、土人初めて見出し今の草堂を建立して尊像をうつし崇敬す」と書かれています。

この当時は、釈迦堂を大御堂とも称して三澤神社のまえの町後ろの畑に在りました。今でもこの小路を大御堂小路と呼んでいます。

創建月日は不明ですが、三沢氏時代に建立された古いお堂で、永禄五年二月銘で、当時の三沢氏一族の三沢為貞が寄進した大鰐口が掛かっていました。この大鰐口は昭和五十二年四月に島根県文化財の指定を受けています。

 現在は、三刀屋多久和の寿福寺にあります。寿福寺は三沢氏一族ゆかりのお寺で、明治の廃仏毀釈の時に縁者により引き取られたと云われています。なお、現在は県立古代出雲歴史博物館に陳列されています。

 廃仏毀釈の時に釈迦像と脇立の観音菩薩、地蔵菩薩は蔭凉寺の本堂に移され崇敬されていましたが、平成六年純道養一和尚様により寺の境内に仏殿を新築され本尊、脇像は移されました。話しによると、「この仏像の貴重なること藤原朝定朝仏像のながれ」と島根県季刊文化財誌に学芸員が寄稿しているとされます。

今では陰凉寺(いんりょうじ)で丁重に供養がされ、多くの参拝者があり崇敬されています。

温泉の岩壺神社の棟札に代官として名前が残る三沢為貞や野尻慶總などの名前が大鍔口に書かれており、当時の三沢氏の歴史を知るうえでも貴重な資料です。

 

【認定No.91】蚕養神社と波多知婆良社(三沢地区原田自治会)

認定証用

蚕(こ)養(がい)神社(じんじゃ) 

 三沢地区での養蚕の歴史は古く、下掛と鴨倉の境から発見された古墳時代末期の比久尼原古墳から女性の大腿骨に付着した繊維が出てきた。このことからすでに、養蚕、生糸、織物が存在していた可能性があるとされています。

 田んぼが少なく、山間の地形で山桑を利用した養蚕であったが、明治に入り桑苗を作り桑畑の開拓により養蚕業は飛躍的に発展、仁多郡の養蚕農家は島根県で最高となり、三沢は温泉に続く養蚕地帯となりました。

 明治初期ごろ、三澤神社の陶山猪三丸宮司は三澤神社横参道の入口に御祭神 「養蚕国大神」を勧請し、地区の養蚕農家の平穏と繁栄、蚕さんの繭玉増産を折られました。

往時は養蚕農家の参拝者で蚕養神社は賑わい、御神札を受け養蚕室に貼ってお祈りしました。養蚕農家がなくなった今でもお祭りをして、三澤神社の氏子により大切に守り継がれています。

 

認定証用

波(は)多知(たち)婆(ば)良社(らしゃ)

大正の中頃、三澤神社境内に原田の渡部徳市氏により「波多知婆良社」が勧請されました。御祭神は「小那姫」様が祀られ旧暦の八十八夜に祭が斎行されます。

御祭神の小那姫は、松江城を開府した富田城の城主堀尾吉晴の次女です。十六歳の頃より婦人病を患い、吉晴は国中の名医に治療させましたが病状は日々悪くなるばかりでした。回復の望みを絶たれた小那姫は二十歳のとき、付き添った姥と共にお城近くの池に身を投げたのでした。

小那姫は身を投げるとき杖代わりについていた椿の木を逆さにさして「この椿が生きて芽を出せば、それを祈り、多くの人々を婦人病の苦しみから守りましょう」と言い残して果てました。

姫がさした椿はやがて花が咲き実がなりました。これから婦人病の霊験あらたかな神として信仰されるようになり、今でも三沢の「波多知婆良社」には遠方よりお詣りがあります。

この小那姫の話は「まんが日本昔話」に載り秘話物語として広く世間に知られるようになりました。

 波多知婆良社は、渡部家ゆかりの人々により大切にお守りされています。

 

【認定No.92】金言寺と大イチョウ(推薦:大馬木第ニ本郷自治会)

金言寺の大イチョウ

 金言寺(きんげんじ)は正安2年(1300)日尊(にちぞん)上人によって開かれた日蓮宗のお寺です。

 今から724年前の鎌倉時代は飢饉‧疫病が蔓延し混沌とした社会で、日尊上人は苦しむ民衆を救済するため、全国に法華経の教えを説いて巡り、東海道、京都、備後路より中国山地を越え晩秋の奥出雲馬木の地に入られました。

 奥深い草庵(後の金言寺)に一夜の宿を乞い、庵主と夜長の談議が始まり白熱した問答が続き、庵主は日尊上人との一問一答に心酔されていきます。

 最後に囲碁の対局となったころには夜が白み、対局後イチョウ樹で作られた碁盤を日尊上人が庭先に置かれたところ、後にその碁盤から芽が出、現在の大イチョウになったと言い伝えられております。

茅葺屋根の本堂と大イチョウの姿は雄大で、毎年、秋の紅葉時期にはその素晴らしい景観を一目見ようと県内外から多くの観光客が訪れています。

高さ33m、幹周6m、樹齢724年(諸説あり)のイチョウ樹は地域の誇りとなっています、平成15年金言寺の大イチョウを守るイチョウ倶楽部が発足し、『住んで良し、訪れて良し』を合言葉に継続して地域づくりが実践されています。

昨年、本堂の茅葺屋根は13年ぶりの葺き替えの時期を迎えていましたが、檀家の減少と高齢化により存続が危ぶまれていました。その中で大イチョウと共に茅葺きの建物を末永く存続させたいと、強い決意で諸問題を解決され、多くの方々の協力を得て、茅葺屋根の葺き替えを実施されております、関係者の努力に大いなる敬意を表します。

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