○奥出雲町世界農業遺産の保全及び活用に関する条例
令和7年9月25日
条例第26号
世界で唯一「たたら製鉄」を継承する本町では、古来より砂鉄の採取跡地を荒廃させることなく農業、林業、畜産業等に再適用することにより、人々の暮らしに大きな恩恵をもたらしてきた。
たたら製鉄とともに生きた先人の記憶を紡いで映し出される奥出雲の景観は、国選定の重要文化的景観に選定されるとともに、「たたら製鉄を再適用した奥出雲の持続可能な水管理及び農林畜産システム(以下「農業遺産」という。)」は、農業による食料と生計の保障、生物多様性の保全、地域の伝統的な知識システムの継承、文化、価値観及び社会組織の維持、鉄穴残丘や棚田等の農業風景など、その特徴的な農業の仕組み、歴史、文化、景観等が評価され、世界農業遺産に認定された。
ここに、私たちは、先人より受け継がれた農業遺産を保全し、持続可能なかたちで未来に継承するとともに、町の農業、観光、教育・文化振興、啓発等の地域活性化施策及び町民による地域活性化の取組みに活用し、その文化的価値を高めていくため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、農業遺産を保全するとともに、地域活性化につながる施策への活用を推進し、農業遺産の文化的価値を高めていくことを目的とする。
(1) 農業遺産保全区域 次に掲げる区域をいう。
ア 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第134条の規定により重要文化的景観に選定された区域
イ 農業遺産の構成要素となる鉄穴残丘、水路網、ため池等の景観、地形、構造物等が所在し、町長が別に定める区域
(2) 関係法令等 文化財保護法、自然公園法(昭和32年法律第161号)、島根県屋外広告物条例(昭和49年島根県条例第21号)、奥出雲町景観条例(平成24年奥出雲町条例第2号)等の景観の保全に関する法令をいう。
(3) 町民 町内に居住、通勤、通学等する者をいう。
(4) 関係者 農業遺産保全区域内の居住者、土地所有者、農業者等をいう。
(5) 事業者 町内外で事業活動を行う法人その他の団体又は個人をいう。
(6) 来訪者 本町を訪れる旅行者、滞在者等をいう。
(7) 建築物等 農業遺産保全区域内の建築物、工作物等をいう。
(町の責務)
第3条 町は、第1条に定める目的を達成するため、農業遺産の保全及び活用に関する施策を実施するものとする。
(町民及び関係者の責務)
第4条 町民及び関係者は、農業遺産の重要性を認識し、その保全及び活用に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、農業遺産の重要性を認識した上で、その事業活動を行うに当たり、その保全及び活用に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(来訪者の責務)
第6条 来訪者は、農業遺産の歴史、文化及び環境に配慮し、その保全及び必要に応じた活用に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(農業遺産保全区域への配慮)
第7条 町、町民、関係者及び事業者は、次条の規定のほか、農業遺産保全区域での土地開発、整備、建築等の行為を行うときは、その保全に十分配慮するとともに、この条例、関係法令等を遵守しなければならない。
(届出を要する行為)
第8条 農業遺産保全区域において、次の各号のいずれかの行為をしようとする者は、町長に届け出なければならない。
(1) 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第2項に規定される再生可能エネルギー発電施設の設置
(2) 島根県屋外広告物条例及び奥出雲町景観条例の規制から外れる行為
(3) 前2号に掲げるもののほか、農業遺産保全区域に影響があると町長が認める行為
(事前協議)
第9条 前条に規定する届出を行う者は、その届出を行う前にあらかじめ、町長と協議を行わなければならない。
(助言及び指導)
第10条 町長は、第8条に規定する届出があった場合において、当該届出に係る行為が農業遺産保全区域に影響があると認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう指導又は助言を行うことができる。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 発電出力の合計が10キロワット未満の発電設備の整備
(3) 営農に必要な設備等の整備
(4) 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)に適用を受ける通常の営農行為による盛土等
(5) 通常の管理行為
(6) 国の機関及び地方公共団体が行う行為
(7) 伝統的な地域行事、農業遺産に係るイベント等に伴う行為
(8) この条例の施行前に建てられた建築物等又は建築行為に着手している建築物等
(9) 前各号に掲げるもののほか、農業遺産保全区域に影響がないと町長が認めるもの
(農業遺産の活用)
第12条 町は、農業遺産による地域活性化を推進するため、農業、観光、教育・文化振興等の施策に活用するものとする。
2 町民、関係者、事業者及び来訪者は、農業遺産の地域活性化に資する取り組み活用できるものとする。
(啓発)
第13条 町は、農業遺産の文化的価値を高めるため、ふるさと学習等の充実を図るほか、町内外に対し、農業遺産の広報、啓発等に努めるものとする。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第14条 町は、農業遺産の保全及び活用のために必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に対し、協力を要請するものとする。
(委任)
第15条 この条例に定めるものほか、農業遺産の保全及び活用に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。