○奥出雲町保安林損失補償事務実施要領

平成21年4月1日

告示第84号

(予備調査)

第1条 奥出雲町保安林の指定による損失補償及び受益者負担に関する要綱(平成21年奥出雲町告示第83号。以下「要綱」という。)第6条の規定による補償の請求があった場合には、町長は予備調査を行うものとする。

(調査事項)

第2条 予備調査の調査事項は、請求に係る保安林の位置及び境界の確認、林況、権利関係、保安施設事業等、荒廃状況、近傍類似の普通林の取扱い等、受益関係、他の法令による立木の伐採制限、その他必要な事項とし、その調査は、次により行うものとする。

(1) 林況の調査は、樹種及び樹齢について行うものとする。

(2) 権利関係の調査は、要綱第2条第1項第3号に規定する森林所有者等について行うものとする。

(3) 保安施設事業等の調査は、事業の種類及び施行年度、事業により設置された施設の位置、種類、数量について行うものとする。ただし、保安施設事業に類する事業は、森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)施行前の治山事業等、砂防法(明治30年法律第29号)第1条の砂防工事その他治山治水のために行う事業とする。

(4) 近傍類似の普通林の取扱い等の調査は、当該地方の普通林で一般に行われている伐採の方法及び当該保安林の立木の利用の可否について行うものとする。

(5) 受益関係の調査は、当該保安林に係る要綱第9条第1項に規定する受益者について行うものとする。

(6) 荒廃状況の調査は、はげ山若しくは崩壊又は飛砂、転石、なだれその他による更新困難地(以下「荒廃地等」という。)の位置及び面積について行うものとする。

(7) 他の法令による立木の伐採制限の調査は、砂防法、自然公園法(昭和32年法律第161号)その他の法令による立木の伐採制限の内容及び当該伐採制限に伴う補償金の交付の有無について行うものとする。

(予備調査書の作成)

第3条 予備調査を終了したときは、当該調査の結果に基づき保安林損失補償予備調査書(甲)(様式第1号)及び保安林損失補償予備調査書(乙)(様式第2号)を作成するものとする。

(補償の要否の判定基準)

第4条 要綱第2条の適用は、次によるものとする。

(1) 要綱第2条第1項第5号に該当する保安林は、流域保全保安林以外の保安林であって、流域保全保安林に重ねて指定されている保安林のうち、別表に該当する保安林とする。

(2) 要綱第2条第2項第1号に該当する保安林は、慣行として一般に普通林でも禁伐又は択伐が行われている地方に所在する保安林及び現に搬出路がなく搬出が不可能と見込まれる地域にある保安林又は搬出路があっても一般に要綱第4条第2項に定める単位当たりの伐採、加工、運搬その他最寄り市場(当該保安林の所在する地域における流通関係を考慮して定める有利な市場又は発駅等をいう。)において販売するまでに要する経費(以下「生産費」という。)が最寄り市場の取引価格を超えることが明らかな保安林とする。

(3) 要綱第2条第2項第2号に該当する保安林は、森林所有者等が受益者である保安林とする。

(4) 要綱第2条第2項第3号に該当する保安林は、その区域又はその含まれる一団地の保安林の区域の過半が荒廃地である保安林とする。

2 当該保安林が、砂防法、自然公園法その他の法令により立木の伐採制限を受けている場合であって、当該伐採制限の度合が当該保安林に係る伐採制限に比して強度であるとき、又は当該伐採制限に伴う損失補償金の交付を受けているときは、保安林の指定に伴う立木の伐採制限により補償すべき損失は生じないので、補償は行わない。

(予備調査の省略)

第5条 請求が第2年目以後のものであって、前回の予備調査の調査事項の内容に変動がないと認められる場合には、予備調査の実施を省略するものとする。

(評価調査)

第6条 町長は、予備調査の結果、請求に係る保安林について補償する必要があると認める場合には、評価調査を行うものとする。

(調査事項)

第7条 評価調査の調査事項は、当該保安林の立木に係る立木材積、市場価、生産費その他必要な事項とし、その調査は、伐採種別に森林所有者等最寄り市場並びに搬出及び運搬の経路を同じくする保安林を単位(以下「評価単位」という。)として、次により行うものとする。

(1) 立木材積の調査は、現地において当該保安林の境界を確認し、その区域内にある標準伐期齢以上の立木について、毎木調査、標準地調査(標準地の面積は、当該保安林の面積の100分の3以上とする。)又は標準木調査により、利用区分、胸高直径、樹高、単木材積及び本数を次により調査するものとする。ただし、当該保安林の境界について紛争の生ずるおそれがある場合には、当該保安林及び隣接地の森林所有者等の立会いを求めて境界を確認するものとする。

 利用区分は、素材(一般用材)、薪材又は炭材とし、その区分は樹種、直径階、生産費等の因子を考慮して決定する。この場合において、針葉樹及び胸高直径が30センチメートル以上の広葉樹の立木は、素材とする。

 胸高直径の測定は、地上高1.2メートルの位置の平均直径を直径階2センチメートル括約によって行うものとする。

 樹高の測定は、1メートル括約によって行うものとする。

 単木材積は、立木幹材積表(林野庁計画課編纂)により算出するものとする。

(2) 市場価の調査は、最寄り市場における規格及び品等別の単位当たりの取引価格について調査するものとする。ただし、素材については、基準材を針葉樹は中丸太、広葉樹は大丸太とするので、当該材種の価格により単位当たりの取引価格を調査するものとする。

 素材及び木炭の規格及び品等は、日本農林規格に定めるところによる。

 薪材の規格は当該保安林の所在する地方で一般に用いられている規格によるものとする。

(3) 生産費の調査は、現地において当該保安林の立木の利用区分ごとに搬出系統を定め、木寄せ距離を測定し、山元搬出種を定めてその距離を測定し、作業道、木馬道その他搬出施設(以下「施設」という。)の開設又は改良の要否及びその距離を確認又は測定し、トラック運搬距離を併せて測定し、賃金、トラック運賃その他の経費を調査するものとする。ただし、これらの調査を行うに当たっては、次の各号に留意すること。

 山元搬出種は、かつぎ出し、牛馬地曳、駄馬、木馬、集材機、鉄索の6種とし、搬出費が最も低くなる搬出種とすること。

 賃金は、職種別に当該保安林の所在する地方における実務賃金を基礎として定めること。

 トラック運賃

(ア) 原則として、中国運輸局管内運賃料金を採用するものとする。

(イ) 使用車両の車種は、その搬出路における運搬の実態等をかん案して定める。

(ウ) 運搬距離は、実距離により定めるものとし、林道台帳の記録その他信頼するに足る測定結果のある区間は、それによって差し支えない。

(エ) 単位当たりの重量は、素材は1立方メートル当たり890キログラム、薪材は1束当たり7キログラム、炭材は1俵当たり15キログラムとし、トラック1台当たりの積載量は、当該使用車両の最大積載量とすること。

(4) その他必要な事項として、当該保安林の伐採種が択伐である場合には、当該森林の年成長率及び標準伐期齢未満の立木の立木材積を調査するものとする。ただし、年成長率は、現在の年成長率に当該森林が択伐林型に造成された場合における成長状態を加味して調整するものとする。

(要綱第4条に規定する林分立木価格の算式に用いる数値)

第8条 要綱第4条に規定する林分立木価格の算式に用いる数値は、次のとおりとする。

(1) f1、f2及びf3は、保安林損失補償事務実施要領について(昭和40年11月8日付け40林野治第1564号林野庁長官通知)別表第3の保安林損失補償簡易計算表(以下「簡易計算表」という。)に定める利用率を用いるものとする。ただし、この利用率を用いることが適当でない場合には、当該保安林の所在する地方で一般に用いられている利用率を用いるものとする。

(2) A1、A2及びA3は、評価調査の結果に基づく単位当たりの取引価格に直径階別生産割合及び簡易計算表に定める価格係数を乗じて算出するものとする。ただし、炭材については、価格係数に代えて当該保安林の所在する地方における木炭の品等別生産割合を用いるものとし、単位当たりの最寄り市場における取引価格については、毎月公表される木材価格又は林野庁が発行する特用林産物市況情報(以下「市況情報等」という。)に掲載された当県又は隣接県内の市場(以下「市況情報等市場」という。)における取引価格が当該価格を上回る場合には、当該市況情報等市場における取引価格を用いるものとする。

(3) nは、簡易計算表に定める月数とし、rは、0.01とし、1/(1+nr)の係数は、簡易計算表に定める係数を用いるものとする。

(4) B1、B2、B3は、伐木造材費又は製薪費、木寄せ費、山元搬出費又は製炭搬出費及び運搬費の合計額とし、運搬費以外の経費は簡易計算表に定める金額とし、運搬費は評価調査の結果に基づく単位当たりの運搬費とする。

(5) 林分立木価額の算式に用いる数値は、要綱第4条第3項の数値による。ただし、単位当たりの最寄り市場における取引価格について市況情報等に掲載された市況情報等市場の取引価格を用いる場合は、保安林の指定の告示のあった日の属する月の15日現在とし、評価調査を行う年の前年までに指定された保安林の林分立木価額の算式に用いる数値は、評価調査を行う年の1月15日現在の数値によるものとする。

(要綱第4条に規定する択伐の補償額の算式に用いる数値)

第9条 要綱第4条に規定する択伐の補償額の算式に用いる数値は、次のとおりとする。

(1) R1は、林分立木価額に指定施業要件として定められた保安林の指定後最初に択伐による伐採を行う場合の伐採率を乗じて得た額とする。

(2) R2は、林分立木価額から保安林の指定後最初に行う択伐による伐採の収穫価を差し引いた残額に年成長率を乗じて得た額とする。

(評価調査書の作成)

第10条 評価調査を終了したときは、当該調査の結果に基づき、保安林損失補償評価調査書(甲)(様式第3号)、保安林損失補償評価調査書(乙)(様式第4号)及び保安林損失補償評価調査書(丙)(様式第5号)並びに搬出系統図(様式第6号)を作成するものとする。

(評価調査の省略)

第11条 請求が第2年目以後のものであって、前回の評価調査の調査事項の内容に変動がないと認められる場合には、評価調査の実施を省略するものとする。

(請求書等の受理)

第12条 要綱第6条の規定による森林所有者等からの請求書等の受理は、次により行うものとする。

(1) 請求人又は補償金受取人が代表者、管理人、総代又は代理人である場合には、委任状その他の当該資格を証する書面の提出を求めるものとする。

(2) 要綱第6条第3号に掲げる書類は、次のとおりとする。

 請求に係る保安林が不動産登記法(平成16年法律第123号)第2条第9号の規定による登記簿に登記されている土地であって、現森林所有者等が登記名義人である場合には、登記事項証明書(登記記録に記録されている事項の全部を証明したものに限る。)とし、現森林所有者等が登記名義人でない場合には、当該登記簿の登記事項証明書(登記記録に記録されている事項の全部を証明したものに限る。)及び当該登記簿に記載されている登記名義人と現森林所有者等との間における権利の移転を証明する書類(登記名義人死亡のため現森林所有者等相続の場合は戸籍簿の謄本、売買の場合は売買契約書の写し等)とする。

 請求に係る保安林が登記簿に登記されていない土地である場合には、不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和35年法律第14号)による廃止前の土地台帳法(昭和22年法律第30号)第5条の規定による土地台帳の謄本とする。ただし、現森林所有者等が当該土地台帳に登録されている所有者と相違する場合には前号に準ずる。

(3) 予備調査書(甲)、評価調査書(甲)、搬出系統図、境界確認書その他調査において収集した資料等は、再調査を行うまで保管するものとする。

(共有林に係る補償の額等)

第13条 共有林に係る補償の額等については、次のとおりとする。

(1) 共有者中にその所在が不分明な者がある共有林に係る補償の額は、要綱第4条第1項の算式により算出された補償の額からその者の持分に相当する額を差し引いた額とする。

(2) 共有林に係る補償金の請求及び受領は、共有者から代表者を選定して請求し、受領するよう措置するものとする。

(補償額の月割計算)

第14条 補償額の月割計算については、次のとおりとする。

(1) 要綱第5条第1項に規定する「保安林の指定その他補償を行わなければならない原因」とは、保安林の指定、指定施業要件の変更(伐採種が皆伐から禁伐又は択伐に変更された場合に限る。)標準伐期齢到達、森林所有者等の変更(森林所有者等が国又は地方公共団体からそれ以外の者に変更された場合に限る。)、搬出路の開設、受益者の変更(森林所有者等が受益者でなくなった場合に限る。)等とし、「保安林の指定の解除その他補償を行うことを要しない原因」とは、保安林の指定の解除、指定施業要件の変更(伐採種が禁伐又は択伐から皆伐に変更された場合に限る。)、森林所有者等の変更(森林所有者等が国又は地方公共団体以外の者から国又は地方公共団体に変更された場合に限る。)、受益者の変更(森林所有者等が受益者となった場合に限る。)火災、自然災害、虫害、伐採等による立木の滅失、枯死、損傷等とする。

(2) 要綱第5条第2項に規定する「森林所有者等若しくは保安林の指定施業要件の変更等」とは、売買、贈与又は地上権その他使用収益権の設定若しくは消滅等による森林所有者等の変更、指定施業要件の変更(伐採種が禁伐から択伐に、又は択伐から禁伐に変更された場合に限る。)等とする。

(3) 年の途中において従来補償をしてきている1評価単位の一部分について要綱第4条第1項に規定する補償を行うことを要しない原因が生じ、又は同条第2項に規定する補償をすべき相手方若しくは補償の額の算出方法の変更があった場合には、残存保安林又は補償をすべき相手方若しくは補償の額の算出方法を同じくする保安林を1評価単位として林分立木価額を再算定し、従来の林分立木価額と再算定した林分立木価額に基づき月割計算をしてそれぞれ当該原因が生じ、又は当該変更があった当月までの補償の額及びその月の翌月以降の補償の額を求め、これらを合計してその年の補償の額を算出するものとする。この場合において、林分立木価額の再算定に用いる数値のうち単位当たりの取引価格及び伐木造材費若しくは製薪費、木寄せ費、山元搬出費又は製炭搬出費の算出基礎はすべき1人1日当たりの賃金並びにトラック運賃の運賃表の金額は、従前の林分立木価額の算定に用いた数値とするものとする。

この告示は、平成21年4月1日から施行する。

別表(第4条関係)

流域保全保安林以外の保安林の指定施業要件に定める主伐に係る伐採の方法

流域保全保安林の指定施業要件に定める主伐に係る伐採の方法

択伐

伐採種を定めない

禁伐

伐採種を定めない

択伐

様式 略

奥出雲町保安林損失補償事務実施要領

平成21年4月1日 告示第84号

(平成21年4月1日施行)