○奥出雲町保安林の指定による損失補償及び受益者負担に関する要綱

平成21年4月1日

告示第83号

(趣旨)

第1条 この告示は、森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)第35条及び森林法施行令(昭和26年政令第276号)第5条の規定により町が行う損失の補償(以下「補償」という。)を適正に実施するため、保安林の指定によって生ずる損失の補償の額の算定の方法及び補償の請求の手続並びに法第36条第1項の規定による受益者の負担金の額の算定の方法及び納付の手続等について必要な事項を定めるものとする。

(損失補償の対象)

第2条 補償は、次の各号のすべてに該当する保安林の立木(標準伐期齢以上のものに限る。)を対象として行うものとする。

(1) 指定施業要件の立木の伐採方法として禁伐又は択伐が定められた保安林

(2) 標準伐期齢以上の立木がある保安林

(3) 森林所有者等(保安林として指定された森林の森林所有者その他権原に基づきその森林の立木又は土地の使用又は収益をする者をいい、その承継人を含む。以下同じ。)が国又は地方公共団体でない保安林

(4) 過去において森林法第41条の規定による保安施設事業その他これに類する事業が行われたことのない保安林

(5) 補償に係る保安林が、法第25条第1項第1号から第3号までの目的を達成するための保安林(以下「流域保全保安林」という。)以外の保安林であって流域保全保安林に重ねて指定されている場合にあっては、流域保全保安林に係る指定施業要件に定める制限と流域保全保安林以外の保安林に係る指定施業要件に定める制限とを比較して、流域保全保安林以外の保安林に係る指定施業要件に定める制限がより厳しい保安林

2 次の各号に掲げる保安林については、保安林の指定に伴う立木の伐採制限により補償すべき損失が生じないと考えられるため、補償は行わないものとする。

(1) 近傍類似の普通林の取扱から類推して、保安林の指定に伴う立木の伐採制限により損失が生じないことが明らかである保安林又は明らかに利用対象外として認められる保安林

(2) 保安林の指定によって利益を受ける者と当該保安林の森林所有者等とが同一である保安林

(3) 現に荒廃し、又は荒廃しつつある保安林

(損失補償の方法)

第3条 補償は、金銭をもって行うものとし、次条の規定により算定される毎年の補償の額を交付するものとする。

(補償の額)

第4条 保安林の立木に係る補償の額は、当該保安林に係る指定施業要件として定められた主伐に係る伐採種の区分に従い、付録第1の式により算出した額を毎年の損失額とみなし、当該損失額に相当する額とする。

2 前項の算出における林分立木価額は、付録第2の式により算出される当該林分に係る立木の価額の合計額とする。

3 前2項の算式における各計算項目の数値は、法第33条第6項において準用する同条第1項の規定による保安林の指定の告示のあった日現在における数値によるものとする。ただし、その後において著しい事情の変更があったときは、その数値を適正なものに補正することができる。

(補償額の月割計算)

第5条 前条の補償の額は、年の途中において保安林の指定その他補償を行わなければならない原因が生じたときは当該原因の生じた月の翌月から月数により、年の途中において保安林の指定の解除その他補償を行うことを要しない原因が生じたときは当該原因の生じた当日までの月数により、それぞれ月割計算するものとする。

2 森林所有者等若しくは保安林の指定施業要件の変更等により補償をすべき相手方又は補償の額の算出方法に変更があった場合における補償の額については、前項の規定に準じ、月割計算するものとする。

(補償の請求書の提出)

第6条 補償を受けようとする森林所有者等は、毎年の補償の額について、その翌年の1月31日までに、次に掲げる書類を町長に提出するものとする。

(1) 補償請求書(様式第1号)

(2) 損失額算定書(様式第2号)

(3) 森林所有者等であることを証する書面

(請求書等の提出)

第7条 町長は、前条の書類を受理したときは、別に定める予備調査書及び評価調査書を作成するものとする。

(補償の決定)

第8条 町長は、前条の規定による書類の提出があったときは、補償の要否及び補償をすべき場合にあってはその補償の額を決定する。

2 町長は、前項の規定により補償を決定したときはその補償の額を、補償すべきものでないと決定したときはその内容及びその理由を補償の請求をした森林所有者等に通知するものとする。

(受益者の負担)

第9条 法第36条第1項の規定による受益者の負担は、法第25条第1項第4号から第8号までの目的を達成するために指定された保安林について前条第1項の規定により補償すべきものと決定した場合において、当該保安林の指定によって利益を受ける特定の者(以下「受益者」という。)について行うものとする。ただし、受益者1人当たりの負担金の計算額が極めて少額である場合には、この受益者の負担は行わないものとする。

2 前項本文に規定する受益者とは、保安林の指定によって利益を受ける物件(以下「受益物件」という。)の所有者その他権原に基づき使用又は収益をするものとする。ただし、受益物件である道路について道路法(昭和27年法律第180号)に規定する道路管理者がある場合には、当該道路管理者をもって受益者とするものとする。

3 前項本文に規定する受益物件とは、道路、鉄道、発電施設、用水施設その他の施設、農地、森林その他の土地、漁業権及びその他これらに類するものとする。

(受益者の負担額)

第10条 一保安林に係る受益者の負担金の額は、当該保安林に係る補償の額に相当する額とする。

2 一保安林に係る受益者が2人以上ある場合における受益者別の負担金の額は、当該受益者に係る受益物件の評価額の割合により算定するものとする。ただし、受益の程度が受益物件により著しく相違する場合には、その割合によって算定することができる。

3 受益物件の評価額、官公署、金融機関その他適当と認められる者の評価額を参しゃくして算定するものとする。

(受益者負担金の通知)

第11条 町長は、前条の規定により受益者の負担金の額を決定したときは、その金額並びに納付の期日及び場所を通知書(様式第3号)により当該受益者に通知するものとする。

(受益者負担金の納付)

第12条 前条の規定による通知を受けた受益者は、町長が発行する納入通知書により負担金を納付するものとする。

2 前項の納入通知書は、前条の通知書に添えて受益者に送付するものとする。

(施行期日)

1 この告示は、平成21年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この告示の施行前に「保安林の指定による損失補償及び受益者負担に関する要綱について(昭和34年12月11日付け34林野指第6687号農林事務次官依命通達)」の規定により行われた処分、手続きその他の行為は、この告示の相当規定により行われたものとみなす。

(令和2年告示第56号)

この告示は、令和2年4月1日から施行する。

付録第1(第4条関係)

1 禁伐 A・P

2 択伐 {A-(R1+R2/P)}P

備考 A、R1、R2及びPは、それぞれ次の数値を表すものとする。

Aは、林分立木価額

Pは、年利率3分

R1は、保安林の指定後最初に行う択伐による伐採の収穫価

R2は、保安林の指定後第2年目以降毎年行う択伐による伐採の収穫価

付録第2(第4条関係)

{f1(A1/(1+nr)-B1)+f2(A2/(1+nr)-B2)+f3(A3/(1+nr)-B3)}V

備考 f1、f2、f3、A1、A2、A3、n、r、B1、B2、B3及びVは、それぞれ次の数値を表すものとする。

f1は、素材となる部分の立木材積に対する割合

f2は、薪材となる部分の立木材積に対する割合に薪材1立方メートルから生産される薪の層積立方メートル数又は束数を乗じて得た割合

f3は、炭材となる部分の立木材積に対する割合に炭材1立方メートルから生産される木炭の俵数を乗じて得た割合

A1、A2、A3は、それぞれ1立方メートルの素材、1層積立方メートル若しくは1束の薪又は1俵の木炭のもより市場における取引価格

nは、その立木の伐出事業の投下資本の推定回収期間

rは、伐出事業の推定総資本月収益率

B1、B2、B3は、それぞれ素材1立方メートル当り、薪1層積立方メートル若しくは1束当り又は木炭1俵当りの伐採、加工、運搬その他もより市場において販売するまでに要する経費の合計額

Vは、その立木の材積

様式 略

奥出雲町保安林の指定による損失補償及び受益者負担に関する要綱

平成21年4月1日 告示第83号

(令和2年4月1日施行)